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Botanical Dye

Story

特別な時間

特別な時間

道草が勢いを増す小満の頃、畑に向かう途中にある桑の実が色づきはじめる。例年より雨が多い事もあり、なかなか収穫のタイミングがあわずにいた。今日こそはと、デスクワークの合間に桑の実を収集にいく。どうせなら写真も撮っておきたいからと欲が出て、夕方に出かけてしまった。道に落ちている実から芳醇な香りが漂っている。3本ある桑の木の周りの草をかき分けながら、なるべく落ちたばかりの潰れてない実をひたすらピックしていく。一応長袖では来たものの、蚊にとっては格好の獲物。もはや罠かもしれないと思うほど、無数の蚊が顔の周りにいる。手にも常に2~3匹止まっている。子連れじゃなくて良かった…子どもの頃だったら無理だった…青を着てくればマシだったかな?蚊は青が嫌いというのは本当なのか?青といえばやっぱり藍染良いよな。などと脳内ツイートが止まらない。今シーズンはもう来たくはないので、バケツいっぱいを目標にする。風で木が揺れる度にボトボトと実が落ちてくる。鳥の声がする。カビチョウだっけ?畑のジャガイモの具合も気になる。陽が沈んで来たからそろそろ終わるか。自然好きとは言っても蚊にたかられる事は不愉快ではある。でもそんな不愉快さを無視できるほど集中しているせいか、苦にはならない。むしろ整っている気もする。季節の移ろいや虫たち自然を通して自分と対話する時間がそうさせてくれているのか。普段何気なく着る服がどうやって作られているか、まして何から染められているかなんてほとんどの人は気にしないのかもしれない。でもモノが出来上がるまでのストーリーや、そこと向き合う時間が僕にとっては特別なのだ。そして、地元多摩で収集した桑の実で染めたボタニカルダイTシャツはまた、特別なのだ。

Tシャツ1枚に使う綿花の量

Tシャツ1枚に使う綿花の量

Tシャツ1枚にどれくらいの綿花を使うのか。畑で育てたコットンで計算してみた。 上の写真がコットンボール5個分の綿花で、殻や種などを除いた純粋な綿の重さは8.8グラム。コットンボール1個から1.76グラムが採れる計算。1株につきコットンボールが10個取れたとして17.6グラム。LIKE THISの半袖Tシャツでいう一番小さなSサイズで重さ160グラムほど、一番大きなXLサイズで重さ210グラムほどなので、1枚作るのに10〜12株ほど必要ということになる。 趣味でコットンを育ててみているが、だいたい120センチ間隔で1株植えている。間に落花生を植えたりはしているが、10~12株育てようとすると結構な面積を使う。週末に行って草刈りをするくらいの世話しかできない今のスタイルで、MAX面倒見れるのが20~24株くらい。Tシャツ2枚分…仮に休みなく毎日世話をするとしてもその7倍の140~168株。14枚分…泣。 いったい何株育てれば仕事になるんだろう…そもそもコットンの取引価格ってどれくらい?   ChatGPTに色々とコットン事情を聞いてみた。 アメリカにおいての収穫量と取引価格 一般的なコットン 農地に対する収穫量:約800〜1000キログラム/1ヘクタール 1株あたりのコットンボールの数:10〜20個 コットンボールの重量:約4.5〜6グラム 1株から得られる綿花の総重量  下限値:コットンボール10個 x 4.5グラム = 45グラム  下限値:コットンボール20個 x 6グラム = 120グラム 取引価格:0.8〜1.2ドル/450グラム(2.2ドル/1キログラム) オーガニックコットン 収穫量:約600〜800キログラム/1ヘクタール 1株あたりのコットンボールの数:8〜15個 コットンボールの重量:約4.5〜6グラム 1株から得られる綿花の総重量  下限値:コットンボール8個...

土 is コスモ。I and I コスモ。

土 is コスモ。I and I コスモ。

東京の郊外に住み始めて10年。運良く、好き勝手に使わせてくれる畑をゲットしたので、せっかくなら肥料も農薬、プラスチックの農業資材も使わずにどれだけイケるかをテーマに畑をやりはじめて4年目に突入した。 自然農の「外から持ち込まず、そこに在るものだけを使う」という哲学的な部分が気に入っているので、なるべく作物の種以外はなるべく持ち込まないようにしている。次々に生えてくる草を刈って、土の保温や保湿、雑草の抑制に使う雑草マルチにしたり、延々と生えてくる篠竹を刈って、支柱にしたりと。農薬や肥料に頼らずに作物を育てようとすると、やることは草を刈って風通しと日当たりを確保してあげる作業がメインになる。鎌を持って屈んでひたすら草を刈っていく時間が結構好きだ。スタンドプレーでは気づけない、虫の生態や草花の生態に気づけるようになる。そしてデザインの目線で虫や草花を見ると、そのクオリティの高さに驚く。どういう姿をしていて、何を食べて何処に住んで、どう子孫を残すのか。しかも、それぞれのスタイルがあってとても面白い。自力でひたすら上へ上へと伸びて種を蒔くスタイルや、蔓を使って生育エリアを伸ばそうとする他力本願スタイルや、虫でいうと青虫に卵を産みつけて寄生スタイルだったり。自力スタイルか寄生スタイルでいえば、人間も同じか!とか思ったり。AI +ロボットを突き詰めると昆虫になりそーだな、とか思ったり。それほど良くできている。そんな風に思考を巡らせながら土に触れ草を刈っていく時間が、子供の頃、銛を持って海に潜り魚を追っていた時の感覚と重なるところがある。自然と対話している感覚なのか、ひとつになれそうな感覚なのか。ん?ONE LOVEってそういうこと!? とか思ったり。 土に触れ、観察し、思考を巡らせ遊びをやっていると、菌や微生物を通して目に見えるものだけではない存在を意識できるようになっていく。大袈裟にいいうと土を通して宇宙を感じはじめる。空の向こうに広がる宇宙は僕にとってはスケールがデカすぎて、あまり意識することはなかったのだけど。先に書いたブログで触れたTANBO NO WAの新商品、甘酒のラベルデザインを「コスモにしたい!」と言われ、え〜、、?となったが、そこから宇宙について僕なりにイメージしてみた。結果、スケールがデカすぎて途中で思考が止まってしまうw(そもそもの始まりをイメージするとメン・イン・ブラックのせいで箱庭説にそれて、、)とてもありきたりだけど、宇宙を意識してたどり着くのはやっぱり今が奇跡の時間=刹那を生きている、ということ。そしたらやるべきことはひとつ、基本楽しむだけ! ただ、とてつもないスケールとバランスで宇宙が成り立っていることはイメージできる。そして、それは地球の自然環境や土にも、ヒトの身体にもいえると思っている。夜空に浮かぶひとつの星に見える光が、もしかしたら僕らが住む同じような銀河かもしれないし、すでに消滅しているかもしれない。太陽が風邪をひけば、一瞬で地球上の生き物は死滅するだろうし、でかい隕石が衝突しても同じ、、僕らの心臓が明日も動いてくれる確証はないし、菌との共生がとても重要なことは分かってきている。 思考を巡らせて行き着く答えはありきたりでしたが、そんなこんなを思いながら一枚一枚スプレーペイントで制作したLIKE THISのコスモTシャツ、同じ宇宙はございません。数に限りもございますので、気になる方はお早めに! > R.O.C. Tee - Cosmo > 天然麹菌 黒米甘酒