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Story

ボタニカルダイ

特別な時間

特別な時間

道草が勢いを増す小満の頃、畑に向かう途中にある桑の実が色づきはじめる。例年より雨が多い事もあり、なかなか収穫のタイミングがあわずにいた。今日こそはと、デスクワークの合間に桑の実を収集にいく。どうせなら写真も撮っておきたいからと欲が出て、夕方に出かけてしまった。道に落ちている実から芳醇な香りが漂っている。3本ある桑の木の周りの草をかき分けながら、なるべく落ちたばかりの潰れてない実をひたすらピックしていく。一応長袖では来たものの、蚊にとっては格好の獲物。もはや罠かもしれないと思うほど、無数の蚊が顔の周りにいる。手にも常に2~3匹止まっている。子連れじゃなくて良かった…子どもの頃だったら無理だった…青を着てくればマシだったかな?蚊は青が嫌いというのは本当なのか?青といえばやっぱり藍染良いよな。などと脳内ツイートが止まらない。今シーズンはもう来たくはないので、バケツいっぱいを目標にする。風で木が揺れる度にボトボトと実が落ちてくる。鳥の声がする。カビチョウだっけ?畑のジャガイモの具合も気になる。陽が沈んで来たからそろそろ終わるか。自然好きとは言っても蚊にたかられる事は不愉快ではある。でもそんな不愉快さを無視できるほど集中しているせいか、苦にはならない。むしろ整っている気もする。季節の移ろいや虫たち自然を通して自分と対話する時間がそうさせてくれているのか。普段何気なく着る服がどうやって作られているか、まして何から染められているかなんてほとんどの人は気にしないのかもしれない。でもモノが出来上がるまでのストーリーや、そこと向き合う時間が僕にとっては特別なのだ。そして、地元多摩で収集した桑の実で染めたボタニカルダイTシャツはまた、特別なのだ。

桑の実染め

桑の実染め

畑へと続く道の脇に自生する桑の木。4月頃から実をつけ始めてから、順々に熟し始めるのが5月頃。夏〜秋に収穫する作物の種まきや苗の植え付けの季節で、ヨモギを摘んだり、ドクダミを引っこ抜いたり、野良仕事のハイシーズンでもある。24節気でいうところの「小満」。 24節気は、中国から伝わった暦で、1年を12の「節気」と12の「中気」に分け、それぞれ名前がつけられている。二十四気ともいうらしく、日本では、中国との季節や気候のギャップを「土用」などの雑節で補いながら愛用されたきたそうだ。wiki曰く"新暦における日付とは異なるわずかな季節の変化、すなわち微妙な季節感を感じ取ることが出来る"。なるほど。そんな気がする。そして、江戸の後期に書かれた暦の解説書「暦便覧」では、小満はこう記されている。 "万物(ばんぶつ) 盈満(えいまん)すれば、草木枝葉繁る"盈満:物事が満ち足りること。欠けたところがないこと。また、そのさま。 満ち足りていることが大満ではなく小満なのが禅的というかドープというか、とてもシブい。ともかく、そんな季節だからそりゃ忙しくなるわけだ。   食べられるもので染めるのはもったないポリシーがあるので、熟し切る前のハリがある美味しそうな実は、子供らのおやつや桑の実シロップに。ボトボト落ちてくる桑の実をコツコツ拾い集め、染料にしています。 季節ものにつき、数に限りがございますのでご興味ある方はお早めにm(_ _)m > Mulberry Dye > R.O.C. Mulberry Dye Tee > R.O.C.Mul.D. Pocket Tee  

サステナブルな色

サステナブルな色

20年ほど前、大学でサステナブルデザインを提唱する教授に出会い「サステナブルデザイン=サステナブルな社会をデザインする」ってどういう事だろう?と日々悶々と自問したり、聞いてみたりと、僕なりに探求していました。当時、教授が描くサステナブルな社会は一元的な環境問題だけではなく、経済、産業、紛争、エコデザイン、ユニバーサルデザイン、、、すべてが繋がっていて、あらゆる社会問題を解決するための概念というか哲学というか思想というか、人類の向かうべき方向を示しているようで、当時20歳くらいの青々していた自分にはとても魅力的であり、大義に思えたような気がします。 で、その流れで出会った素材が「竹」の集成材で(patagoniaの店舗什器やsnow peakの家具で使われている。)、他の植物が共存できないほど生命力が強く、しかも半世紀に一度一気に花を咲かせそして一気に枯れるという、謎めいた生態系も込みで魅力的な天然素材。そんな竹素材を使った家具作りにハマっていました。 というわけで今季、個人的にも思い入れの強い素材、竹の「炭」で染めたボタニカルダイTeeをリリースしています。いわゆる黒Tほどの黒ではありませんが、ぼくらにとっての黒、とてもいい色なので是非ご贔屓に!もちろんグレーもいい色です!(工場長) > Organic Cotton Botanic Tee