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日々骨董市へ。通うまで。⑨

 栃木に戻るとはいえ、18歳で上京していて、その理由もとにかく東京に1度出なくちゃダメだ! 地元にいたってなんにも面白くない! と思っていたくらいだったので、実は栃木のことをなんにも知らなかった。というより、知ろうとしていなかった。ということもあり、かなり新鮮な気分だった。書き出すとキリがないが、東京での暮らしから180度変わるような感覚だった。いい意味でも、不便な面でも。ただ東京は便利すぎるのだ。便利すぎると言っておきながら、新生児を持つ親や妊婦さんの目線になると、そうでもないんだけどね。まぁそんな感じで、栃木での生活が始まった。東京から地方に戻っての、仕事や暮らし、子育てに関してはどこかでまた詳しく書いていきたいと思う。知りたい人も多いのではと思っているので。

 例の高校からの友人はハルオってヤツなんだけど、東京でアパレル関係で働いていたけど、家業を継ぐ関係でぼくより2年くらい先に栃木に帰っていた。あいつもあいつで東京ライフを満喫しまくっていたので色んな葛藤があったと思う。人生色々だ。でも、ハルオは先に栃木を満喫していた。骨董市に行きまくっていたのだ。栃木は東京みたいにオシャレな人が集まるようなフリマは無い。ただ、ディグするのが好きなヤツは骨董市にシフトチェンジしていた。日本の骨董にドハマリしていた。地方には毎月決まった時期に行われる有名な骨董市がたくさんあったのだ。近場で言うと、真岡(もうか)という町の大前神社(おおさきじんじゃ)で北関東最大と言われている骨董市があり、北は東北、南は東京から業者が100店舗くらい集まってくる。面白みは正直半信半疑だったが、とりあえず行ってみることにした。骨董市の朝は早い。早すぎる。朝の5時には目利き達が買い物を始めている。冬場なんかは、まだ暗い中、懐中電灯を片手に獲物をハントしているのだ。結果、ぼくもドハマリすることになるのだが。

 写真は古い土人形。大黒天が鯛にまたがっている。このモチーフも全国津々浦々あるみたいなんだけど、この経年変化による枯れ具合に加え、なんとも気の抜けたユルいお顔が和みまくる。人生にはユーモアが必要だ。成果主義で閉塞感あるこんな時代だからこそ、幅広い心と、くだらないアイデアと、軽く笑えるユーモアと、うまくやり抜く賢さを武器に、この大黒天の「今日もお疲れー、カンパーイ」って言ってるように過ごしていたい。

VINTAGE OBJECTS
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