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吊り編みとは
「畑から始まる着心地」をコンセプトに、LIKE THISのTシャツ開発はスタートした。そして僕らは、着心地の良さは「心と身体で気持ちよく着られること」だと考えた。オーガニックコットン糸を採用することは、地球環境や生産者へのリスペクト。そこから生まれるポジティブなバイブレーションを、肌触りとして活かせるかどうかは編み方次第という考えから「吊り編み」に辿り着く。
吊り編みとは、「吊り編み機」や「吊り機」と呼ばれる旧式の編み機によって編み立てられる生地のことで、糸に余計なテンションをかけずゆっくりと編まれていくため、空気を含んだように、とても柔らかで丈夫な生地になる。
1900年頃にヨーロッパで生まれた吊り編み機は、半世紀ほど一線で活躍していたが、高速編み機が生まれ、効率の悪さから次第に出番を失っていく。主流となったシンカー編み機が1時間に24メートル編めることに対して、吊り編み機は1時間にわずか1メートル。非効率な吊り編み機は大量生産・大量消費の経済に埋もれ、世界中から消えていった。しかし日本では工場の職人たちがメンテナンスを続けながら使い続けたことで、日本の和歌山にだけ残る貴重な技術となっていった。

和歌山の今城メリヤスを訪ねた時の社長の言葉を思い出す。「どっちの方が良い悪いじゃなく、シンカー機が編む生地と吊り機が編む生地は、別ものなんだよね。」合理性だけが答えではない、ものを見極める力というのか、ものづくりへの誠意というのか、至って冷静な考えにとても日本的なバイブスを感じた。そして壊れた吊り編み機からパーツ取りを行いながら「吊り編み」を延命させている話も聞いた。もし壊れたパーツを新規で製作する場合、高級車1台が買える金額になるそうで「そこまではウチは出来ないよね」という話だった。吊り編みを使える時間には限りがあるのかもしれない。だからこそ有り難く、大切に使わせてもらおうと思った。